各人の信仰心によるが、長い道中、
観音さまのお導きで
お願いごとや供養のために
巡拝・修行させていただくのだから、
巡礼衣を身につけて心身ともに
清らかになりたいものである。
背広に靴で巡拝することの
是非は問わないが、
やはり巡礼衣裳は巡礼の晴着。
はずかしいなどと
他人を意識する必要はない。
観世音菩薩の分身として大切に護持し、宿についたら観世音の御足を洗うごとく、杖の先を洗い、床の間にたてる。杖は執金剛神(仁王様)の持つ金剛杵をかたどり、上部は五輪(地水火風空)をあらわし、観世音の加護で無事巡拝できる護身の杖である。(なお、かつて弘法大師が巡錫中、泊まるところがなく一夜を橋の下で過ごしたが、その夜は厳しい寒さで一夜が十夜の思いをされたことから、その遺跡が十夜ヶ橋として残っている。この逸話から、大師を慕い、道中無事を祈念する巡礼遍路は橋の上で杖をつかない約束がある)
巡拝中に強い日差しをさえぎり、雨をしのいでくれる。笠には「同行二人」と住所氏名を書く。その他に「迷故三界域」「悟故十万空」「本来東西無」「何処有南北」と書く。意味としては、「迷が故に三界は城なり」(せわしい日常生活で迷いの中におかれていると、欲望や、観念の世界にとらわれ、苦しみ悩む)「悟が故に十方は空なり」(しかし霊場巡拝によって心身を浄めれば、迷いの中から離れ、明るく自由な世界が見えてくる)「本来東西無く」(精進修行し、我をすてて観世音から徳をいただけば、敵や反対者はなくなり、平和な社会となる)「何処南北有り」(我執にとらわれず、こだわりを捨てることで、苦しみや悩みが消え、人生に広い世界がひらける)。
西国の徳道上人や花山法皇が、観世音を背負われ、俗身に笈がふれないようにと清浄な白衣を着けたのがはじまりという。昔は巡拝中に必要な物を背負って歩いたが、着物の背が摺り破れないよう、着物の上へ笈摺を着けた。現在は笈摺はご宝(朱)印をいただき、死後の旅路に着けるものとされている(袖と砥のないもの)。書き方は、背の正面に「南無大慈大悲観世音菩薩」と書き、右に年月日、同行二人、左に住所氏名を記す。
○両親のある者-中央を赤、左右を白
○片親の者-中央を青、左右を白
○両親のない者-三幅とも白
自分一人のときは「同行二人」、二人連れは「同行三人」と書く(いずれも観世音と共にという意味)。
巡礼の願いを記したもので一ヵ所一枚打ちつける。
●一〜二回目:白紙
●三回目:板札
●四回白:赤紙
●五回目:黄紙
●六回目:青紙
●七回日:紫紙
●八~九回日:銀紙
●十回目-金紙(安産守礼)
袈裟、念珠、白衣、ずた袋、手甲、脚伴、白地下足袋を着け、納経帖、納経軸などが必要。
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