Rokusawa
曹洞宗 光沢山 円照寺
尾花沢は、その名の通りたくさんの沢から成っている。また、「花の山形 紅葉の天童、雪を眺むる尾花沢」の花笠踊りと雪で全国的に知られている。
尾花沢市内より車で二十分、銀山温泉街道に当たる常盤トンネルをくぐり、すぐ右側に光沢山円照寺がある。周囲は山に囲まれ、ひっそりとしたたたずまいを見せている。
昔、この一帯は湖水になって、人々は、舟や筏で往来していたが、六沢の城沢山の境内には、何千年もたった椋(むく)の大樹があり、湖を渡って来た人は、荷物の積みおろしや舟の乗り降りの際、この大木に舟をつなぎとめたので、つなぎ沢と呼ばれていた。それで昔は、つなぎ沢観音とも言われた。便利な反面、実は大木の枝葉が数町に広がっていたため、農作物に被害を与えていた。しかし、樹の精がいるというので、恐れてただ一人手出しをする者がいなかった。大同二年、慈覚大師が巡錫したとき、村人の悩みを聞いた大師は、みずから大樹を伐採し、この大樹で聖観音をきざみ、有縁の地へ安置した。その一体の聖観世音が六沢のご本尊である。観音様を刻んだ残りで地蔵様を刻み、村の古い家では木っ葉地蔵と言っている。
いつのまにか観音寺は廃寺となり、村の信者達が近くの円照寺に依頼し、当時の住職江口皐天大和尚の努力で観音堂は復興した。しかし、当観音堂は倒壊寸前となり、円照寺二十世哲生大和尚は、円照寺境内に改築移転、同七月に落慶式を行った。