最上札所について

ご朱印について

 観音様は、正しくは観世音菩薩と呼ばれ、その大慈大悲の御徳で衆生の救いの求めに応じて三十三の化身に姿を現す菩薩様です。
 この頃、神社仏閣に参拝され「ご朱印」をお受けになる方が大変多くなっております。
 これは「納経」とも呼ばれ、その由来は参詣者がお経を書写して寺社に「お納め」することに始まっております。ですから、昔は納経帳の右肩の所に「奉納大乗経典」と書かれておりました。現在は「奉拝」という文字となっております。いつの頃からか、この作法が簡略化されて、お写経を納めなくとも参詣の証として「ご判」をいただくことになって今日に及んでおります。そして各霊場を巡礼する「巡礼」信仰と結びついて盛んになりました。これは観音三十三札所、或いは四国八十八ヶ所を巡礼し、その全部の霊場から「ご判」をいただくこと、その功徳によって地獄に堕ちないばかりか、所願も成就するという古来の信仰に基づいているものです。

 このような本義から申しますと、お経を書写されず、或いはお堂に入ってお参りをされないで、ご朱印だけをお集めになるということは本来の尊い意義を無視してしまうことになり、あるべき姿から離れてしまいます。
 少なくとも「般若心経」一巻、または「観音経」偈文などを書写なさるか、ご宝前で読誦されるなどして、その後に「ご朱印」をお受けになるようにしていただければと思っております。
 霊場を巡拝なさる皆様に観音様の広大無辺の御功徳があまねく行きわたりますこと、日夜、心よりご祈念いたしております。

最上三十三観音札所別当会
会長 小川信昭